アメリカのボーディングスクールや大学に子供を送り出した親御さんが、最初に頭を抱えるのが「学費の送金問題」ではないでしょうか。我が家も三人の息子がアメリカの学校にお世話になり、気づいたら十数年に渡って試行錯誤してきました。今回は、そのリアルな実態と、一般の日本人家庭が使える現実的な最善策をお伝えします。
まず、現実を直視しよう。学費、いくらかかるの?
「ボーディングスクールってそんなに高いの?」と思われる方もいるかもしれません。高いです。遠慮なく高いです(笑)。今や年間の学費・寮費・諸費用を合計すると、70,000〜80,000ドルが当たり前の時代になっています。
年間総額の内訳(2025〜2026年度)
📊 2025〜2026年の年間コスト目安
- 学費・寮費・諸費用:$60,000〜70,000
- 生活費・交通費・その他:$10,000〜15,000
- → 年間総額:$70,000〜80,000(約1,113〜1,272万円 @159円)
1ドル159円(2026年4月現在)で計算すると、年間1,100万円〜1,300万円。「老後の資金が見る見る溶けていく」金額です。それが4年間続くわけですから、合計で4,000万〜5,000万円。「あの一声が人生を変えた」と言えば聞こえはいいですが、財布への影響は凄まじいものがありました(苦笑)。
同じ ,000 でも、円で払う額は毎年変わる
ここで見落としやすいのが、学費はドル建てで決まるということです。学校が提示するのは $70,000 という数字で、それが何円になるかは送金する日のレート次第。上の「1,113〜1,272万円」も1ドル159円で計算した一例にすぎません。仮に1ドルが10円動けば、年間で70万円前後の差になります。
つまり送金で気にすべきコストは「手数料」だけではありません。どのレートで円をドルに換えるかが、手数料より大きく効いてくることがあります。この点はあとで詳しく触れます。
そして、その大金を毎学期アメリカに送金しなければならない。これが実は、慣れるまでなかなか大変なのです。
我が家の「特殊事情」という名の反則技
実は我が家、ちょっと特殊な事情がありまして。かつてアメリカに駐在していたため、アメリカの銀行口座を今も持っています。さらに、利用している日本の銀行の外貨サービスをうまく組み合わせることで、円からドルへの両替手数料程度のコストだけで送金できる状況です。
つまり我が家の学費送金フローはこう。
🏦 我が家の送金フロー
日本の口座 → (外貨両替)→ アメリカの銀行口座 → 学校に送金
※ 駐在経験でアメリカ口座を維持しているため実現できる特殊ケース
ただし、これは「アメリカの銀行口座を持っている」という特殊事情があるからこそ成立するフロー。「うちはそんな口座ないよ」という大多数の方には、別の最善策が必要です。
じゃあ、アメリカの銀行口座を持っていない普通の日本人はどうすれば?
選択肢は大きく4つです。それぞれのコストの仕組みを並べてみました。
4つの送金方法をコスト構造で比べる
| 送金方法 | 手数料目安 (100万円送金時) | 為替コスト | 着金速度 | 手軽さ |
|---|---|---|---|---|
| 🏦 銀行窓口 (三菱UFJ等) | 約4,000〜6,000円 | 高い (TTSレート) | 2〜5営業日 | △ |
| ✅ Wise (推奨) | 約600〜900円 | 最安水準 (中値レート) | 数秒〜1営業日 | ◎ |
| 💱 SBI Remit | 約400〜800円 | やや高め | 1〜2営業日 | ○ |
| 📋 Flywire (大学指定) | 約2,000〜4,000円 | やや高め | 2〜3営業日 | ○ (大学指定時) |
この表の「手数料」だけを見ると、比較を間違える
上の表は手数料の欄が目を引きますが、送金コストは「手数料」と「為替レート」の二階建てです。銀行窓口が割高なのは手数料そのものより、TTSという銀行が決めたレートで円をドルに換える部分の影響が大きい。逆に、手数料が見えない方式だからといって安いとはかぎりません。
比べるときは必ず、手数料と為替を合算した実質の負担で見てください。具体的な揃え方はこのあとの「FlywireとWise」の章で説明します。
この数字はいつ時点のものか ― 送金前に必ず自分で見積もる
表の金額は、2026年4月時点に各社の公開情報をもとに試算した目安です。手数料体系もレートも変わりますし、送金額・支払い方法・着金先によっても変動します。実際に送る前に、必ずご自身で見積もりを取って確認してください。どのサービスも送金前に金額を確認できます。
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FlywireとWise、結局どっちが安い?
「学校からFlywireで払うように言われたけれど、Wiseの方が安いのでは?」——ここは本当によく聞かれるところです。結論から言うと、この2つは比べる前に決まっていることがあります。
FlywireとWiseは、そもそも役割が違う
名前が並んで出てくるので混同されがちですが、立ち位置がまったく違います。
📋 Flywire = 学校が選んだ支払いの受付窓口。「留学生からの入金はここで受ける」と学校側が決めているもので、使うかどうかを決めるのは基本的に学校です。
✅ Wise = お金を動かす手段。どの口座へ送るかは自分で選べますが、学校がFlywire以外を受け付けないなら、Wiseから学校へ直接払うことはできません。
つまり「どっちが安いか」の前に、「自分の学校ではどちらが使えるのか」が先に決まっているわけです。ここを飛ばして手数料表だけを見比べても、答えは出ません。
パターン別:あなたの学校はどれか
実際には、次の3つに分かれます。
- Flywireしか受け付けない……大学に多いパターンです。この場合、Wiseで学校へ直接払う選択肢はありません。ただしFlywireの中で「何で支払うか」(日本の銀行振込・カードなど)は選べることが多く、その選び方でコストが変わります。
- アメリカ国内の支払い方法も受け付ける……ACH(米国内の口座振替)や小切手が使える場合です。子供名義のアメリカの銀行口座があるなら、日本 →(Wise)→ 子供の米国口座 → 学校という流れが取れます。次章のフローがこれです。
- 両方使える……このときだけ、FlywireとWiseの「比較」が意味を持ちます。
本当の比較のしかた ―「口座から出ていく円」で揃える
ここが一番大事なところです。FlywireとWiseでは、コストの見せ方が違います。
Wiseは「送金手数料◯◯円」と手数料を項目で示したうえで、為替には中値(銀行間レート)を使うと明示します。一方Flywireは、支払い画面で「この学費を払うには日本円で◯◯円」と総額を先に提示する方式が中心で、コストは提示されるレートの中に含まれています。手数料という行が見えないぶん安く感じることもあれば、その逆もあります。
ですから、手数料の数字どうしを見比べても意味がありません。揃えるべきなのはここです。
✅ 比べるのはこれ一本
学校に 同じ金額(たとえば $10,000) を着金させるために、自分の口座から出ていく日本円の総額が何円になるか。
Flywireは支払い前に円の総額が提示されますし、Wiseも送金前に「いくら払えばいくら届くか」が画面に出ます。どちらも実際に送る前に見積もりを確認できるので、同じ日に同じ金額で両方の見積もりを出して並べれば、その時点の答えは自分で確かめられます。レートは日々動きますから、他人の記事の数字ではなく、自分が送る日の数字で判断してください(この記事の表も同じです)。
自分の学校がどれなのかを確認する手順
- 学校の請求ポータル(Student Account / Billing / Bursar などの名前がついています)にログインする
- 支払い方法の一覧で International Payment や Pay from outside the US にあたる項目を探す
- そこにFlywireしか無ければパターン①。ACH・Domestic Wire・小切手などが併記されていればパターン②か③
- 判断がつかなければBursar Office(会計窓口)にメールで聞くのが確実です。留学生の支払いは日常業務なので、たいてい明確な回答が返ってきます
UNCの請求ポータル(ConnectCarolina)では、子供名義のアメリカの銀行口座からの直接支払いが可能だと実際に確認できました。ただし同じ大学でも、支払い方法の選択肢は年度や請求の種類によって変わることがありますので、毎回確認するのが安全です。
長男「Wiseしか勝たん」の一言
我が家の長男は、アメリカのボーディングスクールから大学を卒業後、抹茶の輸出ビジネスを立ち上げました。日本とアメリカの間で頻繁に資金移動が発生するため、海外送金は彼にとって日常業務です。
そんな長男に「海外送金、何使ってる?」と聞いたところ、即答でした。
「Wise一択。他を使う理由がない。」
手数料の安さと透明性、使いやすさ、そして送金スピード。ビジネスで実際に使い込んでいる長男が断言するのだから、説得力があります。「もし自分が今の送金ルートを使えなかったら、迷わずWiseを選んでいたと思う」と言うのが正直なところです。
「でも子供に銀行口座がないんだけど?」への解決策
ここが一番のポイントです。Wiseで親から子供へ仕送りはできる。でも子供がアメリカに銀行口座を持っていないと、学費の支払いに使いにくい。
実は、ボーディングスクールに入学すると、地元の銀行が学生向けの口座開設をサポートしてくれるサービスが多くあります。我が息子たちも入学後、学校主導のオリエンテーションの中で銀行口座を開設していました。アメリカのボーディングスクールでは寮生活が基本のため、生活費の管理を含めて「社会人として自立するための準備」を丁寧にサポートしてくれるんですね。
口座さえ作れてしまえば、こういうフローが成立します。
💡 Wiseを使った理想の送金フロー
- Wiseで日本から子供のWise口座(USD)に送金
- WiseからアメリカのBank of America・Chase等にACH送金(無料)
- アメリカの銀行口座から学校に振込 / またはFlywire経由で大学に支払い
ハーバード・コロンビア・UCバークレーなど主要大学の多くは国際送金にFlywireを指定。ただし子供名義のアメリカ銀行口座があれば直接支払い可能です(UNCのConnectCarolinaで実際に確認済み)。
Wiseの始め方(親向け)
実際のWise口座開設から送金完了まで、親目線でざっくり説明します。
- 口座開設:Wise公式サイトから無料でアカウント作成。メールアドレスと本人確認書類(パスポート等)があればOK。
- 本人確認:スマホで書類をスキャンして提出。審査は通常数時間〜翌日。
- 送金設定:送金金額と通貨(JPY→USD)を入力。リアルタイムの手数料が表示されるので安心。
- 支払い:銀行振込またはデビットカードで入金。
- 着金確認:子供のWise口座(またはアメリカの銀行口座)に着金。通常数秒〜翌営業日。
Wise(ワイズ)公式サイト
無料で口座開設。初回送金の手数料が無料になるキャンペーンも。
📋 まとめ:我が家の結論
- 銀行窓口の国際送金は手数料・為替コストともに割高
- アメリカ銀行口座がなくてもWiseなら親→子のUSD送金が可能
- ボーディングスクール入学後に子供が現地口座を開設するのがベスト
- 大学はFlywire指定が多いが、子供の現地口座があれば直接支払いも可能
- Flywireは「学校が指定する支払い窓口」で、Wiseの代わりではない。まず自分の学校が何を受け付けるかを確認する
- 年間1,000万円超の送金なら、Wiseで銀行より3〜5万円節約できる
また、留学中の健康保険についてはアメリカ留学の健康保険、実は学校が指定していた!もあわせてご覧ください。
そもそも学費そのものを軽くできないか、という観点ならボーディングスクールのファイナンシャル・エイド申請方法もどうぞ。インターナショナル生でも申請できる学校はあります。
学費そのものの見通しを立てるなら、ボーディングスクール留学の奨学金やモアヘッド・ケイン奨学金の実態もあわせてどうぞ。合格後の手続き全体の流れは海外大学合格後にやることにまとめています。
















