留学

    ボーディングスクールでの大学進学準備 後半-2

    3年生が始まると、こと進学準備に関してはスローペースだったこれまでとは異なり、一気にギアチェンジします。今回は3年生の9月にあった出来事を振り返りたいと思います。

    “Cialfo”でアカウントを開設

    Cialfoとは、大学のアプリケーションをオンラインで管理するプラットフォームです。シンガポール発の「エドテック」スタートアップで、日経新聞でも取り上げられていました。

    このツールには、カレッジカウンセラー、生徒のみならず、親にもアクセス権が与えられるので、常に3者が同じものを見ることが出来ます。具体的には、親も含めていつでもどこでも以下の状況をパッと把握することが出来るようになります。

    1. どの大学に出願しようとしているのか(興味ある大学を幅広にリストアップしたLong List、実際に出願する10-12校に絞ったShort Listはどんな感じか)?
    2. その中でFar Reach, Reach, Target, Safetyのバランスはどうか?
    3. エッセイ等の出願書類の提出ステータスは?

    にしても、こういう新しいツールを直ぐに導入するフットワークの軽さ、そして資金力はすごいな、と常々感じます。こういうメンタリティがあるからこそ起業家精神が育まれやすいねしょうね。

    PSATの登録案内が来る

    PSATとは、”Preliminary SAT”の略です。詳しくはこちらをどうぞ。

    SATは米国の大学や多くの海外大学で広く受け入れられている入学試験ですが、PSATはその練習問題との位置付けです。

    そもそもSAT自体何度も受験可能なテストですから、その練習のPSATなんて受ける必要あるの?と思ってしまいますよね。そんな疑問にカレッジカウンセラーは以下の通りビシっと答えてくれます。

    PSATを受験する一番の理由は、テスト環境で練習することです。PSATを10月に受験すれば、本番の試験がどのようなものかに慣れることができます。

    PSATは、ナショナル・メリット・スカラシップ(全米優秀学生奨学金制度)の資格試験でもあります。毎年、全国で約16,000人(受験者全体の約1%)の3年生が全米メリットベース奨学金のセミファイナリストに選ばれます。当校生徒も毎年1、2名がセミファイナリストに選ばれています。

    練習になるという利点は別として、PSATを受験する理由はほとんどないというのが私たちの考えです。また、SATの練習はオンラインで簡単にできます(Methodizeプラットフォームでの模擬試験など)。

    その他不明点があればカウンセラーにご相談ください!

    ファイナンシャルエイド・ウェビナーが開催される

    9月末には「フィナンシャルエイド・ウェビナー」が開催されました。

    「インターナショナル生への奨学金は実際のところどんな感じですか?」と果敢に質問したところ、回答は以下でした。

    1. 先ず、奨学金は大きく2つに分かれる。一つは『フィナンシャルエイド』、もう一つは『スカラシップ』。
    2. 『フィナンシャルエイド』は基本ニードベースの奨学金に対して使う言葉。つまり、親の収入によって支援額が変わるもの(一定の収入を超えると支給されなくなる)。
    3. 『フィナンシャルエイド』の出し手は大きくa)連邦政府・州政府とb)各大学の2つ。a)の対象は米国市民、および永住者であり、インターナショナル生は対象外。b)に関しては、大学によってはインターナショナル生でも支給対象とするところもあるが、申請すると合格率が下がるところも多い(←いわゆるNeed-Aware。逆に合否決定に影響しないのがNeed-Blind)ので、慎重な対応が必要。
    4. 『スカラシップ』は各大学が支給するものだが、殆どの大学は出願すれば自動的に『スカラシップ』の選考対象となり、スカラシップがもらえる場合は合格発表通知にその金額・内容が書かれることが一般的。

    フィナンシャルエイドについてはこのブログでも以前書かせていただいたことありましたが、その内容は大学ではなくボーディングスクール(高校)が対象でした。改めて大学対象のフィナンシャルエイドを振り返っての感想は以下の通りです。

    1. 日本の高額奨学金(柳井財団、笹川財団等)は対象校指定がネック。
    2. 対象校指定があってもなくても、奨学金獲得のハードルは高い(海外進学熱の高まりを受け、今後ハードルは益々高くなる?)
    3. インターナショナル生にもNeed-Blindを適用する大学は、大抵難易度の高い名門大学。そして、インターナショナル生にも必要なエイドは全額支給しますという太っ腹大学は調べる限りイェール、MIT、ハーバード、プリンストン、アマーストカレッジの5つのみ(←だったらこれらの大学は柳井財団、笹川財団の奨学金いらなくない?との素朴な疑問も。。)。故に、競争はもともと超激しく、「Need-Blindだからフィナンシャルエイドを申請しても合格率が落ちない」とか最早あんま関係ないんじゃないの?という世界。
    4. フィナンシャルエイドにしてもスカラシップにしても、事前に支給が決定している日本の財団系予約型奨学金を除けばいくらサポートしてもらえるのかは合格発表時まで分からない。よって、資金面に不安あるけど海外進学したい!ということであれば、取り敢えず出願手続きを進め、結果サポートが得られて得られなくても資金の工面が付けばメデタシ、ダメだったら縁が無かったと諦める潔さと事前のマインドセットが親子共々必要かと。

    今回はここまでということで。11月にはいよいよ3年生全員にカレッジカウンセラーが割り当てられ、進学準備がより本格化していくことになります。続きは次回に。

    COMMENT

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です